整骨院・接骨院で健康保険は使える?🦴 柔道整復師の施術と正しいかかり方を元国保担当者が徹底解説

トップページ

「捻挫したから整骨院に行こう」
「打撲がひどいから接骨院で診てもらおうかな」

子育て中のわが家でも、子どもが転んでケガをするたびにこんな会話をすることがあります。

ちょっと待って。

知らないまま通い続けると、後日保険者(市区町村や健康保険組合)から問い合わせが来たり、場合によっては自己負担が増えることも。

わたしの夫は元国民健康保険(国保)の給付担当職員で、現在も現役の市職員です。そのリアルな現場経験から学んだ「正しい知識」を、専業主婦目線でわかりやすくまとめました。

国保・社保(健康保険組合・協会けんぽ)どちらにも共通する内容ですので、ぜひ最後まで読んでください。


1. まず確認!整骨院・接骨院・整体院の違い

「整骨院」「接骨院」「整体院」……なんとなく似ているけど、実は大きく違います。

整骨院・接骨院は、柔道整復師という国家資格を持つ施術者が施術を行う場所です。「整骨院」と「接骨院」はどちらも同じ施設を指し、名称が異なるだけで実質的な違いはありません。

一方、整体院やカイロプラクティック院は、国家資格が必要なく、施術者の技術や経験に基づいた施術を行います。そのため、健康保険(公的保険)は一切使えず、全額自己負担です。

 💡ポイント

  • 整骨院・接骨院 → 柔道整復師(国家資格)が施術 → 条件を満たせば健康保険OK
  • 整体院・カイロプラクティック院 → 資格不問 → 健康保険は使えない(全額自己負担)

「整骨院でマッサージしてもらった」という感覚で通っている方もいるかもしれませんが、健康保険が使えるかどうかはその施術の内容・原因によります

次のセクションで詳しく説明します。


2. 健康保険(国保・社保)が使えるのはどんなとき?

厚生労働省の定めによると、整骨院・接骨院で健康保険(療養費)が適用されるのは、以下の外傷性のケガに限られます。

  • 捻挫(足首・手首など)
  • 打撲(ぶつけた、転倒したなど)
  • 挫傷(肉ばなれ)
  • 骨折(ひびを含む)
  • 脱臼

これらは、「外傷性が明らかなケガ」に限定されています。つまり、「いつ・どこで・どのようにしてケガをしたか」がはっきりしているケガでないと保険は使えません。

骨折・脱臼は「医師の同意」が必要

骨折と脱臼については、応急処置を除き、あらかじめ医師(整形外科など)の同意を得ることが健康保険適用の条件です。

骨折したらまず病院へ行き、医師の診断・同意を得た上で整骨院に通う流れが原則です。

❓ よくある疑問:骨折したら整骨院だけでもいい?

応急手当であれば整骨院で対応できますが、その後の継続施術に保険を使いたい場合は医師の同意が必要です。「整骨院だけで完結できる」とは限りませんので、ご注意ください。


3. 健康保険が使えないケース一覧【要注意】

「整骨院でも保険は使える」という認識だけで通い続けると、「実は保険対象外だった…」ということになりかねません。

以下は健康保険が使えないケースです。事前に確認しておきましょう。

状況・症状説明・補足
単なる肩こり・筋肉疲労外傷性のケガではないため保険対象外。全額自己負担となります。
神経痛・リウマチ・五十肩・関節炎・椎間板ヘルニアなど
病気(疾患)からくる痛み・こり
慢性疾患・内科的疾患に起因する症状は保険対象外。
脳疾患後遺症などの慢性病いわゆる後遺症・慢性症状への施術は対象外です。
過去の交通事故等による後遺症交通事故は自賠責保険・任意保険の対象。健康保険は原則使えません。
慰安目的のあん摩・マッサージ代わりの利用リラクゼーション目的の施術は保険対象外です。
症状の改善が見られない長期の治療改善が見られない場合、内科的要因も考えられます。医師の受診を検討してください。
医師の同意なき骨折・脱臼の継続治療
(応急処置を除く)
応急処置以外は医師の同意が必要。同意なしでの継続施術は保険対象外。
仕事中・通勤途中のケガ労災保険の対象です。健康保険は使えません。まず勤務先の労災担当に相談を。
保険医療機関(病院・診療所)で
同じ負傷を治療中の場合
同じ部位・傷病について整骨院と病院の両方で保険使用はできません。
注意

上記に該当するケースであっても、「保険が使える」と説明を受けて施術を受けることがあるかもしれません。

しかし後日、保険者(市区町村や健康保険組合)から費用の一部または全部の返還を求められる場合があります。

「説明された通りに受けたから大丈夫」とはならないケースがあるので、不安な場合はご自身の保険者(加入している市区町村の国保窓口、または会社の健康保険組合等)に事前確認することをおすすめします。


4. 整骨院での支払いの仕組み【受領委任払いと償還払い】

整骨院・接骨院の窓口で支払う際の仕組みを理解しておきましょう。大切な部分なので、ぜひ読んでください。

療養費の原則は「償還払い」

健康保険の療養費(柔道整復師の施術に係る費用)は、本来、「償還払い(しょうかんばらい)」が原則です。

👣 償還払いの流れ

① 施術所の窓口で施術費用の全額を支払う
患者(被保険者)自身保険者(市区町村・健康保険組合等)に療養費を請求する
③ 後日、保険負担分(7割など)が振り込みで払い戻される

つまり、全額立て替えてから後で払い戻してもらう方法です。

例外として認められている「受領委任払い」

ただし、柔道整復師の施術については、例外的に「受領委任払い(じゅりょういにんばらい)」が認められています(厚生労働省通知による)。

👣 受領委任払いの流れ

① 施術所の窓口で自己負担分(2〜3割など)のみ支払う

② 柔道整復師が患者に代わり残りの費用(保険負担分)を保険者に請求する

③ 保険者から柔道整復師に保険負担分が支払われる

このため、多くの整骨院・接骨院では病院と同じように、自己負担分のみ支払えばOKという仕組みになっています。

💡 まとめると

  • 多くの整骨院の窓口 → 受領委任払いが適用 → 自己負担分のみ支払えばOK
  • 受領委任の取り扱いのない施術所や、条件によっては → 全額自己負担→後で払い戻し(償還払い)

受領委任払いを利用する場合「療養費支給申請書」への署名(サイン)が必要になります。これが次のセクションの重要ポイントです。


5. 【重要】療養費支給申請書のサインで絶対に注意すること

整骨院・接骨院で受領委任払いを使う際、必ず「柔道整復施術療養費支給申請書」というものへの署名が求められます。

これは、患者(あなた)が柔道整復師に対して、保険者への療養費請求を委任する書類です。サインをすることで、柔道整復師があなたの代わりに保険者へ請求できる仕組みになっています。

「白紙へのサイン」は絶対にNG!

申請書への署名でよくあるトラブルが「白紙の申請書にサインをしてしまう」というものです。

白紙の状態でサインをしてしまうと、あなたが確認していない内容で請求が行われる可能性があり、後々トラブルになるリスクがあります

署名前に必ず確認すること
  1. 負傷原因(どのようにしてケガしたか)が正確に記載されているか
  2. 負傷名・施術部位が実際の内容と一致しているか
  3. 施術を受けた日数・金額が正しいか
  4. サインは必ず自分でする(代筆は原則NG)
  5. 領収証を必ずもらう

⚠️ 注意!

  • 白紙の用紙には絶対にサインしないでください
  • 「印鑑を預けておいて」と言われても、渡さないようにしましょう
    ※現在は押印廃止で印鑑が不要な場合があります。
  • 内容に疑問があればその場で確認を。サイン後は責任を負う形になります

領収証は医療費控除を受ける際にも必要になりますので、必ず受け取って保管しておきましょう。
※健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」により医療費控除を受けることができる場合があります。


6. 保険者から「照会(調査)」が来たときの対応方法

整骨院・接骨院にかかっていると、保険者(市区町村・健康保険組合など)から「施術内容の確認」の照会文書が届くことがあります。

「何かまずいことをしたのかな?」と不安になる方もいるかもしれませんが、これは保険が適正に使われているかを確認するための調査であり、珍しいことではありません。

近年、柔道整復療養費の件数・費用が増加傾向にある背景から、各保険者が適正化に向けた取り組みを行っています。

照会が来たときにすること

☝️対応のポイント

  1. 必ず回答する(回答しないと償還払いへの変更対象になる場合があります)
  2. 受診した記録(日付・施術内容・施術部位)を確認して正確に回答する
  3. 領収証と照合しながら記入する
  4. わからないことがあれば、保険者の担当窓口に問い合わせる

⚠️ 無視・放置は厳禁!

照会に繰り返し回答しない場合、受領委任払いから償還払いへの変更対象になる可能性があります(後述)。照会が届いたら、できるだけ早めに対応してください。


7. 「償還払い」に変更されるケースとは?

通常は受領委任払い(窓口で自己負担分のみ支払う)ができますが、以下の条件に該当する場合は、保険者の判断で「償還払い」へ変更となる場合があります

厚生労働省の通知および各保険者の運用ルールにより、以下の5つのケースが対象とされています。

📌 償還払いへの変更対象となる5つのケース(厚生労働省通知による)

  1. 自己施術:柔道整復師自身が自分に対して施術を行った場合
  2. 自家施術:柔道整復師が家族や施術所の関係者に施術を行っている場合
  3. 照会への不回答:保険者からの照会(内容確認)に繰り返し回答しない場合
  4. 複数施術所での重複施術:同じ部位について複数の施術所で重複して施術を受けている場合
  5. 長期かつ頻回な施術:長期間にわたり、施術頻度が高い施術を継続して受けている場合

償還払いに変更された場合、施術のたびに全額を一旦自己負担し、後から保険者に療養費を請求する手続きが必要になります。

💡 ご自身がこれらの条件に該当するか不安な場合は、加入している保険者(国保の場合はお住まいの市区町村の国保担当窓口、社保の場合は健康保険組合または協会けんぽの都道府県支部)にご確認ください。


8. 知っておくと得する!関連知識まとめ

医療費控除には、「医療費のお知らせ」で申告ができる!

整骨院・接骨院への支払いも、健康保険の適用対象である施術であれば医療費控除の対象になります。

確定申告で医療費控除を申請するには、これまで領収書の添付が必要でしたが、現在では「医療費のお知らせ(医療費通知)」による申請が可能となっています。

⚠️ ただし、健康保険の対象外となる施術(肩こりや疲労回復目的など)は医療費控除の対象にならない場合があります。医療費控除の詳細は国税庁のウェブサイトまたは税務署にご確認ください。

🚗 交通事故・通勤中のケガの場合は健康保険を使わない

  • 交通事故によるケガ → 自賠責保険・任意保険(第三者行為)が対象。健康保険を使う場合は保険者への届け出が必要。
  • 通勤中・仕事中のケガ → 労働災害保険(労災)が対象。健康保険は使えません。

これらのケースで健康保険を使ってしまうと、後日保険者から費用の返還を求められることがあります。必ず各担当窓口にご相談ください。

🏥 病院との併用は原則NG

同じ負傷について、病院(保険医療機関)で治療中に整骨院でも保険を使って施術を受けることは原則できません

どちらで治療するかをはっきりさせ、不明な場合は保険者に確認しましょう。


🧰 施術後の自宅ケアにも気を配ろう

捻挫や打撲の後、施術所でのケアだけでなく、自宅でのアイシングやサポーターの使用も回復に役立ちます。

施術担当の柔道整復師に、自宅でのケア方法や適切なサポーター・テーピングについてもアドバイスをもらうことをおすすめします。


❓ よくある質問(FAQ)

A. 骨折・脱臼が疑われる場合、またはレントゲン・MRIによる画像診断が必要な場合は、まず「整形外科(病院・診療所)」を受診することをおすすめします。

捻挫・打撲の場合は整骨院でも対応できますが、症状が強い・改善しない場合は医師の診断を受けましょう。

A. 受領委任払いを利用する場合、健康保険証や資格確認証(またはマイナ保険証)の提示が必要です。必ず持参しましょう。

 A. 療養費支給申請書は月ごとに作成されるため、月に1回署名が求められるのが一般的です。サインの際は必ず内容を確認してから署名しましょう。

A. 照会内容に不明な点がある場合は、送付元の保険者(市区町村・健康保険組合・協会けんぽなど)に直接問い合わせてください。回答期限がある場合もありますので、早めに対応しましょう。


📌 まとめ

整骨院・接骨院で健康保険を使うためのポイントをまとめます。

  • 健康保険が使えるのは「外傷性のケガ(捻挫・打撲・挫傷・骨折・脱臼)」だけ
  • 骨折・脱臼の継続施術には、医師の同意が必要(応急処置を除く)
  • 多くの整骨院は「受領委任払い」→ 窓口では自己負担分のみでOK
  • 療養費支給申請書は内容をよく確認してからサインする。白紙サインは絶対NG
  • 領収証は必ずもらって保管する(医療費控除・照会対応のため)
  • 保険者からの照会には必ず回答する
  • 仕事中・通勤中のケガは労災保険、交通事故は自賠責・任意保険が対象

わからないことや不安なことがあれば、加入している保険者(市区町村の国保担当窓口、会社の健康保険組合、または協会けんぽの都道府県支部)に直接問い合わせることが一番確実です。

正しい知識を持って、上手に医療保険制度を活用していきましょう。


参考資料・出典

コメント

タイトルとURLをコピーしました